世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.3300
世界経済評論IMPACT No.3300

GAFA,FAANG,MATANAからAI5へ:時代の寵児は生成AIだ

朝元照雄

(九州産業大学 名誉教授)

2024.02.19

GAFAの四騎士とGAFAM

 IT業界を牽引するビッグ・テック4(ビッグ4),即ち,Google(現在のAlphabet),Apple,Facebook(現在のMeta),Amazonの4つの巨大企業は,その頭文字から「GAFA(ガーファ)」の略称で呼ばれている。スコット・ギャロウェイ著『the four GAFA:四騎士が創り変えた世界』によって,「GAFA」が日本でもよく知られているようになった。当時の時代の寵児達であるとわかる。

 ビッグ・テック(Big Tech)は,「テック・ジャイアンツ(Tech Giants)」,上述の書籍タイトルの「四騎士/フォー・ホースメン(The Four Horsemen)」などとも呼ばれ,米国の情報技術産業において最も規模が大きく,支配的存在の大企業を指す。

 一方,同じくIT業界の巨人であるMicrosoftは,2023年に世界時価総額ランキングでAppleに次ぐ2位につけ脚光を浴び,業界の「ビッグ5(Big Five)」を構成,Microsoftを含んだ略称は「GAFAM(ガーファム)」と呼ばれるようになった。

FAANGの登場

 ウォール街のアナリストは,投資家が市場のトップパフォーマーを残りのグループから区別するのに役立つため,株式をグループ化することを好んだ。たとえば,2017年にCNBC金融アナリストのジム・クレイマー(Jim Cramer)氏は,当時の最大手のテクノロジー企業5社を組んで「FAANG(ファング)」と呼んだ。

 「FAANG」とはFacebook(Meta),Apple,Amazon,Netflix(ネットフリックス),Google(Alphabet)の頭文字を取っての造語である。この造語によって,Microsoftが消え,コンテンツ制作・配信の大手企業Netflixが新たに加えられるようになった。

MATANAが新たな時代の寵児

 そして今,時代の寵児は人工知能(AI)に関わるトップグループだ。即ち,「MATANA(マタナ)」(Microsoft,Apple,Tesla,Alphabet,NVIDIA(エヌビディア),Amazon)が脚光を浴びるようになった。Microsoftが再び戻り,Netflixが消え,動画処理,自動運転チップによって,新たにGPU(画像処理装置)の王者となったNVIDIAと電気自動車(EV)で注目されたTeslaが加わった。

MT SAASの登場

 さらに,「MT SAAS(マウントサース)」と称し,Microsoft,Twilio(トゥイリオ),Shopify(ショッピファイ),Amazon,Adobe(アドビ),Salesforce(セールスフォース)も注目されるようになった。

 そのうち,Twilioの主要事業はクラウド電話APIサービス,Shopifyはネットショップの開設・構築を支援するECサービス,Adobeは画像・映像編集ソフトなどを提供するソフトウェア企業,SalesforceはCRM(顧客関係管理)プラットフォームやSlack(スラック/ LINEに似ているコミュニケーションアプリ)を提供する。

 6社の共通点はクラウド型のBtoBサービスを展開するハイテック企業であることだ。BtoBビジネスに従事しているため,一般の消費者はそれ程馴染みが無い企業とも言えよう。

中国の寵児BATH

 一方,IT市場を席巻する中国テック企業群の成長も目覚ましい。4社の頭文字から「BATH」の略語で呼ばれる,バイドゥ(Baidu/百度),アリババ(Alibaba/阿里巴巴),テンセント(Tencent/騰訊),ファーウェイ(HUAWEI/華為)だ。これらは中国の急速な発展を象徴するIT企業でもある。

Magnificent Sevenとは何か

 そして2023年,バンク・オブ・アメリカのアナリストであるマイケル・ハートネット(Michael Hartnett)氏はテクノロジー株の新たなグループを「Magnificent Seven(マグニフィセント・セブン)」と名付けた。「Magnificent」は素晴らしい,立派な,壮大な,見事な,の意味がある。

 マグニフィセント・セブンであるMeta,Apple,Amazon,Alphabet(Google),Microsoft,NVIDIA,Teslaの7社の銘柄は,ベンチマークであるS&P 500指数を確実に上回ること。さらにこの7社の重要な共通点は,各企業が独自の方法でAIを開発していることである。マグニフィセント・セブン株のほとんどは,2024年以降にさらなる上昇余地があると指摘されている。例外として挙げられたのはテスラであり,中国製EVの追い上げによって株価が急落した。そのために,上述のクレイマー氏はテスラをマグニフィセント・セブンから排除されるべきだと主張した。

生成AIの寵児AI5

 2024年に入り,ライト・ストリート・キャピタル(Light Street Capital)のグレン・ケーチャー(Glen Kacher)氏は,グループを完全に再構築する必要があると考え,生成AI領域の担い手であり,勝ち組の5銘柄を新しいトレンドとして特定し,それらを「AI5」と名付けた。

 「AI5」とは,NVIDIA,Microsoft,AMD(アドバンストマイクロデバイセズ),台湾積体電路製造(TSMC),Broadcom(ブロードコム)の5社である。NVIDIA,AMD,Broadcomの3社の共通点は半導体設計(ファブレス)企業であり,この3社の殆どが半導体製造(ファウンドリー)企業であるTSMCに製造委託し,TSMCも5nm以上の先端半導体の80%以上の市場シェアを持つ。

 「AI5」ではアジア地域から台湾のTSMCが初めて加わった。NVIDIAのジェンスン・フアン(中国語名:黄仁勲)CEO(最高責任者)は,台湾台南で生まれ,4歳でタイに,9歳の時に米国に移住した。AMDのリサ・スー(同:蘇姿丰)CEOも同じく台南で生まれ,幼い時に親と米国に移民し,2人は親戚関係を持つ。そして,Broadcomのホック・E・タン(同:陳福陽)CEOはマレーシア・ペナン出身の華人でもある。AI5の5社のうち4社のトップが台湾や華人にルーツを持つことは驚きである。

 この「AI5」にEUV(極端紫外線リソグラフィ)100%独占の半導体製造装置のオランダ企業のASMLを加えると「AI6」になる。生成AIがブームになり,これらの企業の動向から目を離すことができない。

[参考文献]
(URL:http://www.world-economic-review.jp/impact/article3300.html)

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