世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.1635
世界経済評論IMPACT No.1635

終息に向かいつつある中国の新型コロナウイルス

唱 新

(福井県立大学 教授)

2020.02.24

 中国では猛威を振舞っている新型コロナウイルスによる感染者の新規増加数が最近になって,確かに減少しつつある。日本のマスコミでは感染による死亡者数しか報道されず,それだけでは中国における新型コロナウイルスによる感染状態の全体的な動向を把握することができない。

 実は中国は1月20日から毎日,「疑いのある感染者数」,「感染確定者数」,「死亡者数」,「完治者数」など,四つの数値を公表している。それによると,2月19日24時現在,新規増加(一日)の感染確定者数はピーク時(2/13)の5,093人から399人(2/19)に減少した。その中の349人が湖北省にあり,それ以外の地域の感染確定者数は50人に過ぎない。

 また,当日の完治者数は1,781人となり,同死亡者数をはるかに上回っており,死亡者数も前日(3/18)の136人から同日の115人に減少した。現時点では新規増加の感染確定者数のほぼ9割は湖北省内に限定し,それ以外の地域ではごくわずかしかおらず,ほとんどの地域では感染確定者の新規増加数はゼロになっている。

 一方,現在の累積数値についてみると,2月19日時点では「疑いのある感染者数」は4,922人,「感染確定者数」は74,675人,「完治者数」は16,196人,死亡者数は2,121人であり,その中で,重症感染者数は11,246人で,厳しい状態はしばらく続くとみられており,全国人民代表大会と政治協商会議の開催は延期する噂も流れて,依然として楽観視を許さないが,中国では新規増加の「感染確定者数」,「疑いのある感染者数」,「死亡者数」のいずれもゼロを目途にその終息に必死に取り込んでいるのは間違いないのである。

 また,終息の時期に関しては,中国専門家グループの鐘南山首席専門家は,新型コロナウイルスによる感染は2月中下旬にピークに達し,再度の感染拡大は考えられないと公表し,3月には湖北省以外の地域,4月には湖北省は終息するであろうと予測している。

 中国の多くの地域では3月中旬に地域住民の外出禁止令を解除する予定とのことであり,湖北省以外の地域では小康状態に落ち着いたといえよう。湖北省内でも,感染者数のほとんどは武漢に集中し,それ以外の地域では減少傾向がみられているとのことである。

 なお,中国全土では,今回の新型コロナウイルスの感染に際し,日本からの温かい物資援助に感謝し,中日友好のムードが広がっている。このことは中日関係のさらなる改善につながる転換点になるかもしれない。

(URL:http://www.world-economic-review.jp/impact/article1635.html)

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