世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.1022

日本社会の自立への道:(その3)

三輪晴治

(エアノス・ジャパンGK 代表取締役社長)

2018.03.05

(3)日本の国のかたちと問題点

 日本には,今まで見てきたようなアメリカの「国のかたち」,国としてのイノベーション推進力,「制御装置」はなく,実行するためのエンフォースメント力もない。それは,日本は戦後の「日米安保制度」により,安全はタダとして,変化を起こさないという麻薬にかかってしまった。戦争はしない。危険は誰かが対処してくれる。日本の「無痛文明」が蔓延してきている。これが戦後の日本を毒しているのである。アメリカにおける「詐欺的行為」の概念は日本にはなく,詐欺は在ってはならない,在る筈がないという建前である。「事前抹殺主義」で大きなイノベーションの芽を初めから摘んでしまう。従って大きなイノベーションは日本には起こらない。

 日本は「無責任社会」で,誰も責任を取らないし,取らなくてもよい風土になっている。悪いことをしても責任は取らされない。責任をとるとしても,辞任か,解任がせいぜいのところ。アメリカでは刑務所に行くか,場合によっては,死刑に繋がるものもある。

 むしろ日本はあまり事柄の本質について深く追及しようとしない。そうすれば自分が責任を取らされる危険があるから,日本の議論は総て皮相なレベルの「こんにゃく談義」に終わらせている。これは今日の国会での議論を見ればわかるであろう。そのために日本は,コソ泥は捕らえるが,大泥棒を捕らえる力がない。その法的装備もない。

 アメリカは,イノベーションのための「波づくりの国」であるが,日本はその真逆の「波消しの国」である。高所恐怖症,広場恐怖症,小さいものに潜り込んで行く習性が日本人にある。小が善で,大が悪のように考える文化がある。

 石川啄木の「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたわむる」のように,日本は助詞の「の」でどんどん小さなところに潜り込こんでものを考える習性がある。日本には,小説はあるが,大説はないとリュービ英雄が言った。縮み思考の日本人とも言われた。西洋の関係代名詞はどんどん世界が広がる構造を持っているのと対照的である。

 こうした中で,内閣府が平成29年に行った「国民生活に関する世論調査」によると,回答者の73.9%が現状の生活に「満足」,「まあ満足」と回答したという。日本もアメリカでも若者は,20世紀の初めから1980年代までの資本主義経済の発展の時代を全く知らない。経済が成長していったということを経験したことがない。

(4)日本のこれから取るべき行動

 ここで日本のこれからの自立・自尊心を確立するには,精神論だけではなく,日本としての国のかたち,産業経済の制御装置を日本なりに創り上げなければならない。大きな国民運動として官民学挙げてこれに取り組まなければならない。

  • 基本改革指針
  • 1)イノベーション 「波消し」ではなく「波興し」。土地という地上だけではなくソフト,デジタルを含めた宇宙・空間を対象にする。
  •  イノベーションに繋がる詐欺的行為の考え方とセーフハーバー思想。
  • 2)国防力とは国民を守り,国民の富の増進する力であり,国力 経済産業力を増強することである。戦争は避けるべきである。(憲法は何を改正する必要があるのかを考える)
  •  情報力 「インベスティゲーション力」(ことの本質の徹底究明する力)
  • 3)国力の増進のため 詐欺・犯罪を「レギュレート」する。民事訴訟を究明し,決済を当事者同士でつけさせる,富を霧消させない。国家が介入する(ペコラ委員会レポートをまず読み,理解すること)
  • 4)政策,社会経済目標の実行,「エンフォースメント」とその仕組み,責任の取り方。

 これらをもとに,国民運動として,日本の国の新しい骨格を創る必要がある。既得権者の反抗があるだろうが,それをどう説得するかだ。(完)

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