世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.998

日本の超高齢化はあと35年で止まる

市川周

(白馬会議運営委員会 事務局代表)

2018.01.29

日本文明が絶滅する?

 「西のダボス,東の白馬」なる遠大な志をもって創設された白馬会議(会場・長野県白馬村)が10年目を迎え,「超人口減少国家日本の衝撃」をテーマに昨年11月下旬開催された。

 日本人はこれから50年足らずで現在の1億2000万人台から8000万人台へ,さらに次の50年で5000万人台へと,まるで遊園地のフリーフォール(垂直落下型絶叫マシン)に乗っているかのように超人口縮小現象の真っ只中に突入して行く。

 『文明の衝突』を世に遺したサミュエル・ハンチントンは世界の文明を8大文明に分類し,中華・ヒンズー・イスラム・東方正教会・西欧・ラテンアメリカ・アフリカの各文明に加えて,日本文明を入れている。只,日本文明だけは「一民族,一国家」で形成されている極めて特異なものであるとした。このまま日本人がいなくなったら,絶滅する文明であると予言していることになる。

超高齢化が止まり,「老壮青三結合」社会へ

 一方,未曽有な人口縮小と同時進行するはずの超高齢化は,驚くべきことにストップする。国立社会保障・人口問題研究所が2017年に発表した長期人口中位推計によれば,2018年の65歳以上の人口比率28.2%は35年後の2053年には38.0%に達する。しかし,その後は推計値が発表されている2115年までを見ても38.4%と,なんと60年間以上,38%台前半のまま横ばい状態となっている。

 すなわち,日本はこれから35年程で,「0〜14歳:10%,15〜64歳:52%,65歳以上:38%」という人口バランスに到達し,安定固定化する。かつて文化大革命時代の中国で唱えられた「老壮青三結合」社会が日本の文明モデルとして実現することになる。フリーフォール型人口縮小と「老壮青三結合」,この組み合わせがハンチントンも想像しなかったような日本文明の蘇生モデルを生み出すかもしれない。

「健康寿命」よりも「貢献寿命」を

 来たるべき「老壮青三結合」社会に向けて,白馬会議【第1セッション】では杉浦哲郎氏(日本経済調査協議会専務理事)が,人口減少に対処し得る最大の処方箋は日本人1人1人の生産性向上であり,それを支えるのが「草の根レベルのイノベーション」であるとし,シリコンバレーの安易なもの真似に走るなと戒めた。

 【第2セッション】では佐々木信夫氏(中央大学教授)が明治維新期の廃藩置県断行を人口膨張に備えた政治革命であったとし,未曽有な人口縮小時代に突入する今,新たな政治革命としての「廃県置州」が,抜本的な財政再建(道州制移行で30〜40兆円規模の歳出削減が可能)と地方自治体の脱「霞が関管理」につながることを執拗に説いた。

【第3セッション】では秋山弘子氏(東京大学高齢社会総合研究機構特任教授)がシニアは高齢化社会にたじろぐことなく,「アンチエイジング」から「アクティブエイジング」を可能とする社会変革に挑めと檄を飛ばした。

 さらに【ディナースピーチ】では傘寿を超えたビジネスメンター,新 将命氏が長寿企業の“黄金サイクル”を解き明かしながら,個人の「不老戦略」としてUnique Selling Point(得意技)を持つことを喚起し,これからのシニアは「健康寿命」だけでなく,もう一段上の「貢献寿命」を目指すべきだと,秋山氏と意気投合されていたのが印象的であった。

 討議録は白馬会議ホームページにて閲覧可能。

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