世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.3072
世界経済評論IMPACT No.3072

JOB型人事で専門職採用と専業事業化による社会戦略構想:経営資源集中と世界競争力強化のために

白藤 香

(SPCコンサルティング株式会社Labo 所長)

2023.08.21

1.人口減と専門職

 人口減を背景に高度専門職が大幅に不足,能力仕込みある人材供給が間に合わず,高度先端分野の事業開発は遅延が懸念されている。人事側に問うと多くが経営側に由来した問題と話し,多くの大企業や中小企業で未だ課題解決が図れていない。

2.定義

 専門職とは,専門分野の学位や科目履修を満たした人材や公的資格者と定義し,100%職務遂行を可能とする人材を指す。JOB型人事とは職種と能力要件が明記され,該当人材による組織運営で事業遂行を担保する人事制度を指す。

3.社会事例:高度専門技術

 解り易い社会事例にIT事業が挙げられる。JOB設計と運用が世界標準であるため国際比較がし易い。下記の高度専門技術はよく見聞するが,社会実装は大幅に遅れている。

1)量子技術

 本分野には新旧幅があるが,なぜ日本社会では北米と比較し圧倒的に使いこなしが足りていないのか?すべてのセキュリテイ管理で導入されていれば,軍事ハッカーを含め高度なプロテクションが可能と思う。

2)ブロックチェーン

 日本学術には開発のオーソリティーがいるにもかかわらず,なぜ,事業用途への利用が不足しているのか? 個人情報防御を目的に社会全体で利活用がもっと進んでいい。

3)総称AI

 機械学習が市場統計用途として一般的で解り易い。ニューロンネットワークから難易度とコスト双方が高い専門領域となる。言語形成型AIは複合構築であるため,高難易度かつ高コストの先端専門分野となる。

4.専業事業化した社会戦略

 上記の3分野を利用した事業開発を押し進めるためには,本専門領域を手掛ける専門事業者を戦略化したほうが日本社会の利点が大きい。例えばIT専業ではない事業者が絶対数少ない専門職を抱えたところで事業展開も収益化も不十分となる。またコンサル会社に専門人材を多数配置したところで上流企画はやれても手を動かす技術部隊は外部,その結果コスト高となり社会推進は役不足となる。

5.結論

 要は,日本社会全体で専業事業化を図り経営資源を集中させたほうが,社会推進が早く国際競争力も強化できる。特に数の限られた高度専門職人材は専門事業会社に集中採用させ社会事業展開を図ったほうが効率的で収益性も分散なく利点が多い。とにかく事業と人材の「なんでも屋」から脱却し,高収益を叩き出す高度専業事業化は社会戦略として必要と考える。

(URL:http://www.world-economic-review.jp/impact/article3072.html)

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