世界経済評論IMPACT(世界経済評論インパクト)

No.2441
世界経済評論IMPACT No.2441

混沌の中で日本の目指す道

真田幸光

(愛知淑徳大学ビジネス学部ビジネス研究科 教授)

2022.03.07

 世界は,ウクライナ事態を背景にして,更に混沌(Chaos)が深まり,混乱(Disorder)に陥り,そして,無政府状態(Anarchy)となる危険性まで出てきている。

 懸念される事態である。今回はそうした混沌の中での日本のあり方に関する私見を述べたい。

 筆者は,英国と言うお国は英語,スターリングポンドと米ドル,英米法,ISOなどのモノづくり基準,企業の成績評価基準であるところの英米会計基準と言った,世界標準を世界に定着させ,君臨し続ける国と見ている。

 また,フランスは世界標準が取れなかったものの,一部フランス語圏国家にはフランス標準を定着させる一方で,「フランス・ブランド」と言う無形資産(Intangible Asset)を世界に広め,富を蓄えている国と見ている。

 そして,アメリカと言う国は,英米の標準を軸にしながら,「欲望」という渦を世界に広め,大繁栄してきた国ではないかと考えている。

 即ち,例えば,アンチエージングだ,美容だなどと人の欲望を刺激してモノやサービスを売り,「大量生産大量販売,大量消費」の社会を持続させている,更には,「消費力の足りない人には借金までさせてモノやサービスを販売していく」。

 こうして,「欲望の資本主義」を世界に定着させ,その上で,必要に応じて消費者には借金をもさせてモノやサービスを買わせるという構造を構築,これが結局,「行き過ぎた広義の信用創造」を生み,最終的には,「世界全体をバブル経済に導き,お金第一主義・拝金主義」に陥れ,更に,「大量廃棄」まで誘引する,「悪の資本主義」に成り下がっていると筆者は考えている。だからこそ,今こそ,日本が古より行ってきた,「自然との共存によるリサイクル社会の実現」に向けた,「日本人の知恵とその精神の輸出」と言う,「世界が必要とする魂と具体策」を世界に普及して,世界に尊敬されながら,世界と仲良く,共に生きていく道を模索すべきではないかと考えている。

 そして,日本には既に,大量の鉄くずを鉄に戻すリサイクル仕組みが出来,大量の通信機器回収する仕組みを作り,そこからリアメタル,レアアースを取りだす仕組みもでき始め,また,日本各地にある砂から新素材を作り,鉄鋼に変える,灰からコンクリートを作るなどといった,日本古来のリサイクル志向に基づいた挑戦が起こっている。

 こうしたノウハウ,そして何よりも,「考え方,魂」を世界に定着させていくことこそ,「日本の生きる道」と筆者は理解している。

 さて,ウクライナ情勢に目を転じたい。今回の事態は,世界秩序をも揺るがす事態になりかねず,日本としても大きな影響を受けかねない。

 こうした中,中立的,客観的,科学的であるべき国際機関であるはずの国連のグテーレス事務総長はウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を実施した。

 グテーレス事務総長はゼレンスキー大統領に対して,国際機関はウクライナへの人道的支援を強化し,その目的の為に資金提供するとし,これを国際社会にも呼びかけると語った。更に,ロシアを含む常任理事会の全メンバーに対して拒否権行使が認められない中で開催された国連・安全保障理事会で,緊急セッションを承認する為の投票が行われ,国連総会でロシアのウクライナ侵攻について話し合う為の緊急特別会合を開催することを決議した。しかし,最終的にはその国連の安全保障理事会の重要決議事項に対して拒否権を行使する権利を持つ永久常任理事国の座にロシアが就いていることを考えると,国連が今回のウクライナ問題で今後,どこまできちんとした影響力を行使できるか不透明である。

 国連は,ロシアだけを非難するのではなく,むしろ,国連の場でロシアとウクライナがきちんと対話をするように仲介をすべきであり,特に,これまで,プーチン大統領との対話を事実上拒んできたと一部では見られているウクライナのゼレンスキー大統領にもきちんと対話に応じるように説得をし,ロシアには,力で条件を押し付けることのないように両国の交渉の経緯を睨みながら,国際機関としての役割を果たしていくべきではないだろうか。今回の問題では,「国連の真価」も問われることとなりそうである。

 そして,日本としては,「地球上の倫理観のある,平和を求める存在としての人間の尊厳」を胸に,ロシアだけを一方的に非難することなく,国連と共に,喧嘩両成敗,両者の意見を聞く場を日本が提供し,例えば,ロシアのプーチン首相の信頼が厚いとされている森元首相の立ち会いの下で議論,意見調整をし,事態をいち早く収束に向かわせる中心的な役割を国連に代わってでも果たしたらどうであろうか。

 筆者は欲望に走らず,「足るを知る」精神を基にして,平和な世界の構築の為に,日本ならではの役割を果たす時期が来ていると感じている。

(URL:http://www.world-economic-review.jp/impact/article2441.html)

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